【膝関節痛とは?】

膝関節痛とは、膝の関節部分に感じる痛みの総称で、加齢やケガ、炎症、変形、筋肉や靭帯の問題など、さまざまな原因によって引き起こされます

 

【股関節痛の主な原因】

変形性膝関節症

加齢や過度な負荷により関節軟骨がすり減り、骨同士が接触して痛みを生します

加齢や肥満、過去の外傷、遺伝的要素等が現在言われています

歩行時や階段昇降時の痛み、膝の腫れやこわばり 等が認められます

 

関節リウマチ

自己免疫反応により関節の滑膜に炎症が起こり、痛みや変形を引き起こします

左右対称の関節痛や朝のこわばり、全身の倦怠感等が認められます

 

半月板損傷・靱帯損傷

スポーツ時、転倒、強く膝を捻ってしまうことによる外傷で、強制の強い痛みを引き起こします

膝の不安定感、引っ掛かり感、腫れなど

 

股関節疾患や、骨盤、脊柱の疾患との関連

何らかの原因で過度に股関節が内またになっている場合や反り腰がある場合、膝関節に影響がでることが多く認められます

運動連鎖といい、膝関節痛と言っても膝だけの問題で痛みを感じている場合は、実はそう多くはありません

 

 

【膝関節痛が起こる理由】

膝関節痛が起こる理由は、加齢や筋力低下、使い過ぎ(オーバーユース)など、複数の要因が複雑に絡み合って発生します。特に50~90代の女性に多く見られる理由は以下になります

1.関節軟骨の摩耗(加齢や変形性膝関節症)

年齢とともに関節軟骨がすり減り、軟骨同士が擦れ合うことで痛みが生じます

関節内で炎症が起こり、腫れや熱感、可動域制限も引き起こされます

 

2.筋力の低下(特に大腿四頭筋)

大腿部の筋力が低下すると、膝の関節を安定させる力が弱まり、膝に過剰な負担がかかります

これらが慢性痛の原因となっていきます

 

3.骨盤や足関節の動きの低下による連鎖的負担

骨盤の傾きや足関節のアライメント以上(扁平足や回内足)があると、歩き方に偏りが生じ、膝にねじれストレスがかかります

特に女性は骨盤の形が広くなっているので、膝にかかる内向きの力が大きく、痛みがでやすいと言われています

 

4.体重増加(肥満)

体重の1kg増加が、膝関節には4~6倍の負荷として加わるといわれています

膝の関節軟骨への圧力が高まり、炎症や痛みを助長します

 

5.ホルモンバランスの変化(特に閉経後)

閉経によりエストロゲンが減少すると、関節軟骨の代謝が悪化し、炎症が起こりやすくなります

骨密度の低下も関節の安定性に悪影響を及ぼします

 

膝関節痛が起こる理由について参考論文

Hunter DJ, Bierma-Zeinstra S. "Osteoarthritis." Lancet. 2019;393(10182):1745–1759.

Culvenor AG et al. "Quadriceps muscle strength and knee pain: a systematic review." Arthritis Care Res. 2017.

Herzog W. "Biomechanics of musculoskeletal system." J Biomech. 2019.

Felson DT et al. "Weight loss reduces the risk for symptomatic knee osteoarthritis in women." Ann Intern Med. 1992.

Sniekers YH et al. "Estrogen and osteoarthritis: a possible role in cartilage metabolism." Ann Rheum Dis. 2008.

 

その他、痛みを助長したり、さらに悪化する因子として、運動不足や不適切な靴、冷え、長時間の正座等が言われています

 

【整体院あおりはのアプローチ方法】

大前提として〇〇すれば改善します。という事はありません。

痛みについてのあおりはの考え方はこちらになります。

 

その方々の痛みの原因やその状況、痛みの部位、動作等によって微調整しながら進めていきます。

概ね以下の流れでアプローチしていく形が多い傾向なのでご紹介します。

 

1.骨盤と股関節に対するアプローチ

骨盤や股関節の可動性や筋膜の動きを誘導していくことで摩擦ストレス、圧迫ストレス等を軽減します

 

2.筋肉のバランス調整

膝周囲の筋肉の緊張を緩和し、関節の動きをスムーズにします

マッサージ、筋膜リリース、運動療法等でご対応させていただきます

 

3.姿勢と歩行の改善を目的としたアドバイス

日常生活での正しい姿勢や歩行をアドバイアスさせていただきます

生活上のストレスを軽減する目的でインソール等をご提案する場合もあります

 

膝関節痛については運動で何とかするというよりも、いかにストレスを減らすかということの方が重要になるケースが多い印象です。とにかく無理をしない。痛みをださない。という事がキーワードになることが多いです。

 

【膝関節痛に対する最新論文】

2024年以降に発表された最新の論文をまとめています。膝関節痛の予防や治療において、最新の報告は個別化されたアプローチや早期介入の重要性を示しています

 

運動療法と薬物療法の併用効果

2024年のシステマティックレビューでは、運動療法と薬物療法の併用が、単独療法よりも膝OAの痛みと機能改善に効果的であることが示されました。特に、間葉系幹細胞注射、デキストロース注射、ボツリヌス毒素A、PRP(多血小板血漿)などの併用が有効とされています

 

肥満と変形性膝関節症に対するセマグルチドの効果

GLP-1受容体作動薬であるセマグルチド(商品名:オゼンピック、ウゴービ)は、肥満患者の体重減少と膝OAの痛み軽減に有効であることが示されました。68週間の治療で、平均13%の体重減少とともに、膝の痛みが約50%軽減されました

 

炎症性の高い食事と変形性膝関節症の痛みの関連

炎症性の高い食事(高脂肪・高糖質・加工食品中心)は、膝OAの痛みの悪化と関連していることが、10年間の追跡調査で明らかになりました。抗炎症性の食事(野菜、果物、オメガ3脂肪酸など)への切り替えが、痛みの軽減に寄与する可能性があります

 

早期の運動療法介入の重要性

膝OAの症状が出てから1年以内に運動療法を開始した患者は、長期的に痛みや機能改善の効果が高いことが示されました。特に、陸上および水中での運動療法が有効です

 

遺伝子・エピジェネティクス研究の進展

2024年のレビューでは、膝OAに関連する26の新たな遺伝子が特定され、MGPやALDH1A2などが治療ターゲットとして注目されています。これらの研究は、将来的な個別化医療の発展に寄与する可能性があります

 

AIによる変形性膝関節症の診断と重症度評価の精度向上

2025年3月に発表された大規模な研究では、130万枚以上の膝X線画像を用いて、AIが関節裂隙の狭小化、骨硬化、骨棘形成などの病変を高精度で検出し、膝OAの重症度を評価するシステムが開発されました。このAIモデルは、ResNet15やDenseNetなどの深層学習アルゴリズムを活用し、多様な年齢層や性別、撮影機器に対応できる汎用性を持っています

 

膝関節のデジタルツインによる個別化医療の可能性

2025年1月の研究では、定量的MRI(qMRI)と機械学習を組み合わせて、膝関節のデジタルツインを構築する手法が提案されました。これにより、軟骨の厚さや半月板の形状などのバイオマーカーを解析し、膝OAの進行予測や人工膝関節置換術の必要性を個別に評価することが可能となります。このアプローチは、将来的な精密医療の実現に寄与することが期待されています

 

【参考論文】

Cheng HY, Liang CW, Liao CD, Huang SW. Effects of the combination of various pharmacological treatments and exercise on knee osteoarthritis: a systematic review and network meta-analysis. EFORT Open Rev. 2024;9(7):668–675.

University of Sydney. New study suggests weight loss drugs like Ozempic could help with knee pain. 2024.

Ma C, et al. Proinflammatory Diet May Prompt Worse Pain Course in Knee OA. Arthritis Care Res. 2024.

Early Knee Osteoarthritis: Exercise Therapy's Golden Window. Medscape. 2024.

Osteoarthritis year in review 2024: Genetics, genomics, and epigenetics. Osteoarthritis Cartilage. 2024.

Subramanian B, et al. A Multi-Site Study on AI-Driven Pathology Detection and Osteoarthritis Grading from Knee X-Ray. arXiv:2503.22176 (2025).

Hoyer G, et al. Foundations of a Knee Joint Digital Twin from qMRI Biomarkers for Osteoarthritis and Knee Replacement. arXiv:2501.15396 (2025).